「カナダ合同教会の歴史と現在」
ロバート・ウイットマー(前農村伝道進学校校長)
はじめに
こんばんは! 今紹介いただきましたウイットマーです。今日私が所属するカナダ合同教会の歴史と現在を、みなさんに紹介する機会が与えられて、本当に心から感謝します。みなさん、本当にお疲れのことと思うのですが、この話が北村先生のこれからのことのためにも、また日本基督教団のことを考えるためにも、少しでも参考になることを、心から願います。
Ⅰ カナダ合同教会はどんな教会(教会合同への歩み)
1番目のスライドにあるのは、2012年に作られたカナダ合同教会の新しいクレストですね。
ちょっと見づらいですが、また後で出て来ますので、後ほど何がどう変わったのかについて説明させていただきます。カナダ合同教会は1925年に出来ました。他の教派が繋がって世界の中で出来た合同教会としては一番早かったと言われています。その前から例えば、メソジスト教会の中での沢山の合同がありました。それで一つになって、そこでカナダ合同教会になるんですね。長老教会も同じようにカナダ合同教会になる前に、いくつもの長老教会が合同して、3分の2ですね、100%ではなく、3分の2の教会がカナダ合同教会に加わりました。組合教会はカナダでそんなに大きな教会ではなかったのですが、それも加わって1925年にカナダ合同教会になりました。カナダの西部にユニオン教会と呼ばれている教会がありました。カナダの西部というのは広くて、地理的に教会もすごく離れていて、何百キロも離れている所もあります。ですからカナダ合同教会が出来る前から、やっぱり教派を超えて一緒に教会を作りましょうということで、特にメソジスト、長老教会が繋がって、ユニオンチャーチになって、その教会もカナダ合同教会に加わりました。実は60以上の先住民族の教会がありましたが、教会として位置付けられていなかったのですね。白人の宣教師がそこで宣教の場として伝道している。だから合同する決定には全然参加していません。教会として扱われなかったんですね。これで“The United Church in Canada”ではなくて、“ The United Church of Canada”が出来ました。日本基督教団は英語で言うと、“The United Church of Christ in Japan”で、日本にある合同教会ですね。カナダ合同教会はカナダの合同教会ですね。何故そうなったかと言うと、カナダはこの時代キリスト教国だと思われていたでしょうし、イギリス系の人たちはカナダ合同教会にも多かったし、カナダの人口自体はイギリス系の人たちが多かった。フランス系の人たちを除けばですね。だからカナダ合同教会は国造りに参加でき、電話をかけて首相と直接話が出来る。多分そういう思いがあって、こういう名前になったと思うのですね。今のカナダの状況は全然違うのですけれども。今もThe United Church of Canadaですね。
A.R.ストーンは、「カナダ合同教会」が成立した翌年に日本に派遣されました。ストーン宣教師は洞爺丸で1954年に亡くなりました。初代の農村伝道神学校の校長でもありました。彼はカナダ合同教会が出来てすぐ日本に宣教師として来たんです。もしかしたら、カナダ合同教会の日本に来た初めての宣教師だったかもしれません。で、その時代、教団はまだ出来ていないから、日本のメソジスト教会の宣教師として見えたのですね。ある時、日本のメソジスト教会の牧師たちが、「やあ、私たちメソジスト教会だねえ」と言ったんですね。するとストーン宣教師は怒って、「私は、メソジスト教会の宣教師ではなく、カナダ合同教会の宣教師です。メソジスト教会に協力しているだけです」と言ったのです。そのことが新堀邦司著『海のレクイエム』(p47)に書いてあります。
これは北海教区道北地区がカナダ合同教会の本部を訪ねた時の、どの教会が合同したのかということを表す、バナーですね。書いてあるのは、「わたしたちは、ユニオンチャーチであり、メソジストチャーチであり、組合教会であり、長老教会であり」と書いてあります」。それから1968年に、ドイツ系のメソジスト教会ですが、福音合同同胞教会がカナダ合同教会に加わりました。今五つのバナーがあります。
これは2012年にカナダの西部サスカチュワン教区の教会を教区と地区の交流のために訪ねた、一般の教会ですね。その教会にもこういうバナーを貼っています。だから、どことどこが合同したか、何で私たちは繋がったのか、本当にキリストにあって一つであること、それを覚えることをすごく大切にしていますね。私が神学校に行ったときにですね、合同する前の教派の牧師がまだ健在だったので、その人たちの話も聞くことが出来ました。そうしたら、組合教会の牧師だった人は、何にこだわっているかと言いますと、先ず一つは招聘制度で教会が牧師を招聘する。もう一つは信仰告白です。「これが決まっている」、「正しいわたしたちの信仰告白だ」という信仰告白はあってはならない。それぞれの教会が作る。それにこだわった。だから、カナダ合同教会に、「これがカナダ合同教会の信仰告白だ、これを信じないと教会の者ではない。」そういうことはないです。それは組合教会のこだわりです。メソジスト教会のこだわりは、ここにもキリストを必要とし、あそこにもキリストを必要としている人たちがいるし、ここにもいるし、どこにでもわたしたちは出かけて行って、イエス・キリストの福音を分かち合わなければならない。それにこだわっていたのですね。宣教ですね。出かけて、イエス・キリストの福音を分かち合う。長老教会は、何にこだわったかと言うと、教会の建物と礼拝にこだわりました。そういう話を聞くことが出来ました。
カナダ合同教会には13の教区があるんですね。例えば、これが一番大きいのはモントリオール教区。これは面積で言うと、日本の10倍ですね。そして教会がいくつあるかと言うと、269しかないです。モントリオールは大きな町ですよ。そこにはたくさんあるかもしれない。地方の教会は本当に散らばっていると言うか、離れている所にあるということですね。Conferenceはメソジストの言葉、Presbyteryは長老教会の言葉ですが、現在の13教区(Conferences)85の地区(Presbyteries)は、カナダ合同教会の体制、仕組みが変わって、16の地域に分かれるんです。それについては、後程ちょっと話をします。でも今までの教区はこういう感じです。
Ⅱ カナダ合同教会はどんな教会(2016年12月31日現在)
1. 農村(地方)の教会である
カナダ合同教会はどんな教会かと言いますと、先ず農村教会と言うよりも、地方教会ですね。人口2,000人以下の町や村にある教会は53%、半分以上です。会員数も30%。人口3万人以下の町にある教会23%、会員数は26%。3万人以下の町にある教会は76%、4分の3以上ですね。会員数は56%。全部で今2,834教会があって、それが2,141の牧会区域に分かれている。分かれているということは、兼牧が多いということですね。ですから一人の牧師が二つの教会、三つの教会、多い所で五つ、六つの教会を牧会していることがカナダ合同教会の場合は一般的なことです。
2. 多様性のある教会である
それから多様性のある教会でもあります。先住民族の教会は今も60の教会があります。そして、合同した時は決定に参加することも出来ませんでしたけれども、今は先住民族の教区もあります。それから、フランス語の教会も12教会あります。
カナダ合同教会の讃美歌を見ると、「アメージンググレース」(くすしきみめぐみ)は 英語、フランス語、先住民族の言葉でクリ―語、モホーク語、オジブワ語、イヌクティトゥット語、それに中国語、日本語にもなっています。それからカナダ合同教会で一番人気のある信仰告白、「新しい信条」は、讃美歌を開くと、英語、フランス語、クリー語、日本語、韓国語、中国語、フィリピン語で記されています。フィリピン語というのは、フィリピンのタガログという言葉に基づいて作られたフィリピンの標準語ですね。そういう多様性を大切にしている教会ですね。
3. 高齢化が進んでいる教会である
教会では高齢化が進んでいます。それは日本基督教団についても同じことが言えると思います。世界の多くの教会について言えることだと思います。カナダ合同教会の会員数のピークは1965年です。200万人以上いました。2016年はその半分以下ですね。2016年の洗礼者は5,485人で、永眠者は13,683人ですね。だけど、その中でカナダ合同教会に所属意識のある人数は、約200万人ですね。だからカナダの人に「あなたの教会はどこですか」と聞けば、200万人は教会生活をしていないかもしれないけれども、カナダ合同教会だと言う。もし自分が教会に行くとしたら、カナダ合同教会に行きたい。そう言う人はそれだけいるということですね。でも礼拝の平均出席は、132,459人です。20代から50代前半までの多くの人々は教会生活を必要としていない。これは日本でも同じことがあるのではと思うのです。この人たちを言い表す新しい言葉が出来たんですよ。SBMR→ spiritual but not religious 、だから、霊性そのものは否定しない。霊性は大切だけれども、宗教はいらない。宗教を持つ必要はない。自分の生きている所で霊的な力に繋がって、そこで生きて行けばいいんだ。そういう考え方が非常に今広がっていると思うんですね。教会に多様性があって、高齢化が進んでいるだけでなくて、一般の社会そのものも多様化する中で、カナダ合同教会が存在しているんですね。
4、カナダの社会が多様化する中で存在する教会である
今カナダの5人に1人はカナダの生まれではないんですね(2016年)。人口の20%です。250以上の民族および様々な文化圏の人々がカナダに住んでいる(2016年)。毎年約25万人の人々がカナダに移民する。2014年の一番多い国は、フィリピン、中国、イランとパキスタンですね。カナダの宗教がどういう風に変わっているかと言うと、キリスト教は一番多く、ローマ・カトリックは39%、カナダのフランス語圏の人々は100%と言っていい位、カトリック教会ですね。プロテスタントは28.3%。この中でカナダ合同教会が一番大きくて、カナダ全体の6.1%ですね。その他の宗教が今どういう風に伸びているかと言うと、イスラム教3.2%、ヒンズー教1.5%、インドのシク教1.4%、仏教1.1%、ユダヤ教1%、ユダヤ人は昔もうちょっとパーセンテージが高かったんですけれど、今はユダヤ人は増えてなくて、ほかの宗教の人たちがどんどん増えているということですね。もう一つは、無宗教だと言っている人たちが23.9%、だからプロテスタントのクリスチャンと同じくらい多いですね。その中でカナダ合同教会は存在しています。
⓵ カナダ合同教会の「牧師」??? (2016年12月31日現在)
カナダ合同教会の場合は牧師になる制度は、日本基督教団の場合とは全然違っていて、正教師と補教師の制度もないし、例えば按手礼を受ける牧師もいれば、最初から按手礼を受けない牧師もいるんです。牧師にはなるけど、教会の牧師にはなろうと思っていない。刑務所で働くとか、病院の治療チームとして働くとか、そういう働きをするから、按手礼を受ける必要がない。勉強の期間は同じですよ。だけど按手礼は受けない。按手礼を受けるために教師検定試験とか、そういうものは一切ないんです。教区の面接で決まります。教区が按手礼を授ける。またカナダ合同教会の場合、按手礼を受けている牧師や受けていない牧師だけではなくて、任命された信徒牧師もたくさんいます。カナダ合同教会の「牧師」は 2016年12月31日現在 、按手礼を受けている牧師 3,428人(男性2,,070人、女性 1,358人)、按手礼を受けない牧師 289人(男性26人、女性 263人)、任命された信徒牧師132人、信徒牧師も主任牧師になれる。主任牧師になれれば、もちろん洗礼式と聖餐式もできます。礼拝指導をするライセンスのある信徒もいる。これは教区が決めるので、人数がその年その年で変わります。彼らはどういう時に礼拝を指導するかと言うと、それは牧師が入院しているとか、或いは休みでいないという、そういう時に代わりに行くのですね。説教も出来るし、或いは聖礼典も出来る。信徒牧師も、按手礼を受けた牧師も、ライセンスのある信徒もいない場合があるから、教会が本当に何百キロも、千キロくらい離れている場合もあるから、必要があれば聖礼典を執り行うことが出来る長老、役員もいます。でも、これも事情によって教区が決めることですから、何人いるか数えられないですね、その時その時決めますから。このような制度がカナダ合同教会でどうして生まれたかと言うと、特に信徒牧師とライセンスのある信徒ですね、その背景に何があるかと言うと、カナダ合同教会の総会をいろんなところで開くんですよ。私は教団の総会に5,6回出ていますが、東京か箱根にしか行ったことがないですね。カナダ合同教会は毎回違うんですよ。全教区で開いているんです。そうすることによって、その教区の事情を学ぶことが出来る。学ぶことによって、例えば信徒牧師の制度が必要だとか、そういうことを知ることも出来ます。
② カナダ合同教会の総会
総会はいろいろな所で開いています。北の方には、なかなか行けないし、道路があるとも限らないし、それは難しいので開けないのですが、でも東から西までいろんなところで開いています。1925年より43回開いているんですね。1994年まで2年おきでした。出かけて行くとお金がかかります。でも出かけて行くことは大事にしたいから、人口の集中している所ばかりで開きたくない。だから3年おきに変わったんですね。それで今も全国を回ることが出来る。全国13教区のすべてで開かれている。人口3万人以下の町で6回、カナダ合同教会の総会が開かれているんですね。一番小さい町は5,000人以下でした。どうしてそういうことが出来るのか。カナダはどの町にもアイスホッケーのアリーナとカーリング場があるからです。そこが会場となる。カナダ合同教会の総会は夏です。だから大学が夏休みになっているときに、その大学の体育館と寮と食堂を借りて、そこでやるんですね。日本の場合もキリスト教主義学校がいっぱいあるから、10月にやらないでそういうところを使って夏休みにやったら、町のホテルを使うより安く済むのではないでしょうか。いい協力関係が生まれるかもしれないですね。各教区で選ばれる議員は全部で356人、これは今年のカナダ合同教会の総会ですね。でもその他に250人位が来ている。青年は80人~110人で、その内少なくても13人は正議員になります。その他に陪席者もいるし、外国のパートナー代表もいるし、バンドは必ずあるから、バンドのメンバーもいるし、それから地元のスタッフのボランティアがいっぱいいるんですよ。その総会の行われる教区の人たちにとっては、与えられた機会ですよね。一生懸命ボランティアとして協力してくれるんです。カナダ合同教会の総会議場でもちろん議長が選ばれます。任期は2年でしたけれども、1994年から3年に変わりました。1968年以降の議長は信徒4人、女性6人、先住民族1人、アジア系の人1人、アフリカ系の人1人、レズビアンの女性1人、ゲイの男性1人です。
私は信徒で初めて議長になった人の影響を受けて、日本に来ることになりました。彼は実は宣教師だったんですね。中国、ビルマ、インド、パレスチナのガザ、そういう所で働いたのです。私が海外に行きたいと言ったら、海外に行くなら教会を通して行った方がいいよ。パートナーがいるから、迎えてくれるパートナーシップ、協力関係のある団体があるから、教会に行きなさいよと。それで教会に問い合わせたら、私の当時の資格で牧師じゃないから、香港、韓国、日本ですよと言われた。どこにもそんなに興味がなかったのですが、1964年の東京オリンピックの思い出がまだ頭に残っていたものですから、じゃあ日本に行きますと言って、そうなりました。1970年代にはアフリカ系で初めての議長が生まれました。1980年には女性で初めての議長が誕生しました。彼女は牧師です。1986年にも信徒の女性が議長になりました。彼女の議長時代の1988年のカナダ合同教会の総会では、性的志向(セクシュアル・アイデンティティー)は、クリスチャンになるにも、牧師になるにも妨げにはならないと、カナダ合同教会が決定した時ですね。彼女が牧師でなく信徒議長だったことはすごくよかったと思います。でも彼女にとって大変な、大変なことでした。後ほどもうちょっと話をします。彼女のすぐ後にサン・チュル・リーというアジア系の牧師が初めて議長になりました。彼はシベリア生まれで、それから満州に移って、1965年に韓国からカナダに移りましたね。2006年になった議長は議長になってから、治まっていた癌が再発して、癌の治療を受けながら、彼は議長の働きを続けたのです。こういうこともカナダ合同教会にとってすごく大切なことだったと思います。彼にとって大変なことだったかもしれないけれども、でも彼は続ける気持ちがあったから、よかったと思います。2012年にはゲイの人で初めて議長になった人もいます。レズビアンで初めて議長になった人は、2015年~2018年まで議長でした。
③ 信仰をどのように表現するか
カナダ合同教会の信条については、組合教会のこだわりがあって信仰告白を持ってはいけないから、合同した時に、1925年にArticles of Doctrine(教義の条項20条3ページ)を作りました。それから1940年にA Statement of Faith(信仰の声明12条4ページ)を作りました。A ですね。Theではないです。それから1968年に、ちょうど50年前ですね。A New Creed(新しい信条)を作りました。これもAです。これが今一番人気があるんですね。これは1980,1995年と2回改訂しています。2006年にA Song of Faith(信仰の歌)という7頁の信仰告白も作りました。基本的にどれを使ってもいいです。でもさっきから言ってるようにA New Creed(新しい信条)が一番人気があります。これはカナダ合同教会の神学なのです。1968年に作った時は、Man is not alone だったのですよ。Manは人類という意味もあるけれども、Manは男性と言う意味もあるでしょ。それはおかしいと。だからManがWeに変わったのです。Man、his、him、heがあったところを全部Weに変えたんですね。「わたしたちは招かれているんだ」。「彼は何々している」ということではありません。「わたしたち」が主語で、「わたしたちが招かれる」。それから1995年に、先住民族の人から指摘されて、「被造世界を大切にして生きるために」を加えました。これからも、もしかしたら変わることがあるかもしれません。
以下は人気のあるA New Creed(新しい信条)の日本語訳です。
「カナダ合同教会 新しい信条 1968年(1980年、1995年改訂)」
わたしたちは ひとりでは ありません。
わたしたちは 神の世界に生きています。
わたしたちは神を信じます。
神は世界を創造され、その創造のみ業は今も続いています。
神は、この世と和解し、世を新たにするために、肉となられた言、イエスを通して、世に来られました。
神は、聖霊によって、わたしたちや他の人々の内に働かれています。
わたしたちは神を信頼します。
わたしたちは教会となるように、招かれています。
神が共にいてくださることを喜ぶために。
被造世界を大切にして生きるために。
他の人々を愛し、仕えるために。正義を求め、悪を退けるために。
十字架につけられ、復活され、わたしたちの審判と希望となられたイエスを宣べ伝えるために。
生きるときにも、死ぬときにも、死を超えた生にあっても、神はわたしたちと共におられます。
わたしたちは ひとりでは ありません。
神に感謝をささげます。
⓸ カナダ合同教会のクレスト、さあ何が変わったでしょう???
⓵1944年
これはカナダ合同教会の最初のクレスト、⓵は1944年、ラテン語(UT OMNES UNUM SINT,ひとつとなりますように)と英語(THE CHURCH OF CANADA)です。②の1980年に初めてフランス語を加えました。そして2012年に色を変えたんですよ。この四つの色は先住民族にとって大切な意味のある色です。人生の段階を表すし、民族を表すし、その捉え方は先住民族によって多少違うんですが、彼らのことを覚えて、それを大切にしてこの色に変えたんです。それから先住民族のモホーク民族は北アメリカに来たヨーロッパの探検家が初めて出会った先住民族と言われているので、彼らの言葉にしました。それはAkwe Nia'Tetewá:neren アグェー・ニァディディワァ・ネィーレン 、英語でAll My Relations。その意味は「すべての命がつながっている」。だからこれがカナダ合同教会の霊性の一部になっています。このように先住民族と新しい関係を持つ努力もしています。
⑤ カナダ合同教会の週報
ちょっとカナダ合同教会の週報を見てみたいと思います。
カナダ合同教会の牧師は、信徒牧師、按手礼を受けている牧師、受けない牧師、がいると言いましたが、日本基督教団の場合、牧師は教師ですね。教師は英語で言うとteacher。そういう言い方を牧師について使うことは全然ないです。聞いたことないですね。日本語で使われている牧師、それを英語にするとpastorという意味ですね。pastorは牧会する人、もちろん教会の主任牧師であれば、牧会すると思いますけれども、pastorという言い方もほとんどしない。カナダ合同教会ではministerという言い方が一般的ですね。ministerは「仕える人」という意味です。安倍晋三さんはprime ministerだから、誰よりも一番国民に仕えなければならない人ですね。ministerはそうですよ。じゃあこの週報を見て、ministersは誰か。“everyone”「全員」です。こっちの週報は、ministersは“all the people”「全員だ」。教会によって書き方が違うんですよ。この教会の週報はministerの働きを誰がするかと言うと、“The people of this church”。もう一つの教会の週報によるとministerは“all of us”「私たち全員」です。こういう書き方をしている教会が非常に多いです。もちろん按手礼を受けている牧師もministerですよ。でもみんなministerだ、みんなに仕える働きがあるし、出来ることがある、役割がある。そういうことを覚えて、それを大切にするために、こういう風に週報に書いているんですね。
⑥ 地域との関り
それから地域との関わりですが、最近のカナダ合同教会の週報にはこういうことも書いてあるんですよ。「地域の低所得者層の子供たちのために、学校で必要な物を集めましょう、リュックサックとか、お弁当とか、ノート、鉛筆、消しゴムなど」。週報に載せて、集めて、そういう支援活動している所に渡すということですね。また、わたしたちと繋がりのあるカナダ合同教会の人たちは、ほとんどと言っていいくらい、難民を迎えて、彼らがカナダの生活に慣れるまで、さまざまな形で協力と手伝いをしているんですね。
| シリアの難民を迎える |
⑦ カナダ合同教会と先住民族
また先住民族に戻りますが、カナダ合同教会は1986年と1998年に2回先住民族に謝罪しています。これが謝罪文ですね。
謝罪文 ↓
| 謝罪文 |
カナダ合同教会の本部からのEメールに必ず次のことが書かれています。The United Church of Canada acknowledges that its buildings and ministers, from coast to coast to coast, are on traditional territories of Indigenous Peoples.(カナダ合同教会の建物と働きは東から西から北まで先住民族の伝統的な土地に立っていることを認識しています。)
また、週報には最近全教会ではないと思いますが、これを書いています。「私たちの教会は先住民族の土地に建っている。感謝と尊敬を持って先住民族がこの大地を大切にしたことを覚えて、神さまのみ心に適う新しい関係が作れることを願っています」。
⑧ カナダ合同教会が目指す礼拝
わたしたち宣教師は定期的に本国活動と言って、日本からカナダに戻って、短い時は4か月、長い時は1年くらいですが、カナダのあちこち回って日本の働きを紹介します。これは貴重な時だと思います。その時にわたしたちが経験した礼拝のいくつかを、ちょっと紹介したいと思います。
一つは、どの教会にもキリストのローソクがあるんですね。礼拝が始まる前に、大体子供か高齢者が、子供と高齢者が一緒に、前に出てそのローソクに灯をつける。キリストのローソクだから、キリストはわたしたちと共にいる。高齢者にも子供にも役割が与えられることですね。それから礼拝に来れない人も増えているので、礼拝に来れなかった人のためにコーヒータイム礼拝があります。礼拝と書いてありますが、牧師がいるとも限らないし、説教があるとも限らない、でもお祈りと讃美歌があって、豊かな交わりの時ですね。こういうことをする教会が増えています。平日ですね、日曜日ではありません。それから古くなっている礼拝堂が沢山ありますから、この教会は2階にある礼拝堂が使える状態じゃないので、地階の部屋を使って、輪になって礼拝を守っているんですね。
| コーヒー礼拝 |
| 輪になる礼拝 |
そういう風にしている教会も沢山あります。
もう一つは、カナダ合同教会はどの教会に行っても、必ずと言っていい位、これは地方の教会であろうと都会の教会であろうと、どこに行ってもプロジェクターとスクリーンがあります。で、それは高齢化が進んでいることもあって、讃美歌を持つのも、聖書を持つのも大変ですし、新しい人が来た場合でも、新しい人は週報の見方も分からないし、聖書と讃美歌の開き方も分からないし、だからそれが全部スクリーンに出るんですよ。また、三つ、四つの教会が一緒にインターネットで礼拝している所もあります。何百キロも離れているんですよ。そしてどの教会も受け身になっていないですよ。それぞれその教会の役割がある。私はこの教会で説教していますけれども、牧会祈祷は他の教会でする。献金の祈りも他の教会でする。オルガンも他の教会で奏楽する。聖歌隊は他の教会で歌う。みんなに役割があって、みんなが参加している。そしてこれらを録音して送ることも出来ます。もし牧師がいなくて、この礼拝を見たいと思う人がいれば、特にわたしたちは日本の報告をしますから、実は1,000キロくらい離れた教会から、この礼拝を送って欲しいと言われて、その教会に送ったのですね。そしてもう一つは、わたしたちは私の姉の教会で礼拝をした時に、日本語で祈ったのですね。その礼拝が終わって、コーヒータイムになって、ある人がわたしたちの所に来て、「やあー、この教会で英語でない言葉で祈りを聞いたのは初めてだ」。彼はアフリカ系の人で、日本語で何を祈っているか、全然わからないけど、でも英語じゃない言語を聞くだけで、それに感動したということ、わたしたちにとってすごい発見でしたね。コーヒータイムが終わる時に、またわざわざわたしたちの所に来て、涙ぐんでありがとう、ありがとうと言いました。日本の教会も日本語だけでなくて、他の言語を使うことも、いろいろな人がいれば、その人も礼拝を共にしていいんじゃないですかね。神さまに通じるから、と思いました。それともう一つ、これは面白かったのですが、トロントはカナダで一番大きい町で、何百万人の人口ですが、夏にジャズ祭りをやるんですね。そしたら、トロントのあるカナダ合同教会はジャズ礼拝をやったんですよ。牧師は説教しなくてよいから、すごく喜んでいました。ジャズ歌手がいたんですよ。歌って、それからその歌詞の背景にある霊的な意味を紹介して、すごく感動的な礼拝でした。やはりこの新しい試みと工夫とかは、新しい発見に繋がるんじゃないでしょうか。
⑨ 聖餐式
これはカナダ合同教会の聖餐式です。
カナダ合同教会は全ての教会、100%と言っていいと思いますが、受洗者のみの聖餐式をやる教会は一つもないと思います。聖餐式そのものは教会のものじゃない。招くのは教会じゃない。キリストなのです。キリストは全ての人を招く。その招きに応える、応えないは、その人が決めるべきです。それを押し付けることはない。これは私の姉の教会で使われていた式文です。全ての教会がこれを使っているわけではないのですが、一つの例として参考になればと思います。
《必要とされている人にパンは用意されています。希望される者のためにぶどう酒は用意されています。生まれ変わりたい者に主の食卓は呼びかけます。全ての者が招かれています。それは信じるからではなく、信じたいからです。それは理解出来るからではなく、希望を持ちたいからです。神を知っているからではなく、神に愛されているからです。健全だからではなく、必要だと分かっているからです。 私たちが裂くこのパンによってキリストの命を分かち合います。私たちが祝福する杯によってキリストの愛を分かち合います。主の食卓は皆さんを待っています。神さまは私たちを招きます。どうぞこの食卓へ、すべてが準備されています》。
⑩ 2018年7月21日~28日開催のカナダ合同教会の総会最後になりますが、今年のカナダ合同教会の総会の交わりが、どんな雰囲気であったのか。議案はほとんど教会のあり方、教会が何をしなければならないか。何が今わたしたちに求められているかについての議案でしたね。だから、会計報告だとかに長い時間はとりません。楽しい雰囲気ですよ。議長も総幹事も色のある帽子をかぶっています。そして紙の資料はないですよ。紙の資料を用意しなかったのは今年初めてです。議案資料は何か月も前からインターネットで見れる状態になっていました。議案を見るだけではなく、それについて他の人と、或いはカナダ合同教会のスタッフとも話し合いが出来ます。もっと知りたいことがあれば、聞くことが出来ます。総会に出る前にですね。総会に来たら、配る資料は全くないです。だから、コンピューターか、アイホンか、スマートホンで見るんです。それがない人でも、総会が体育館で行われますのでスクリーンがいくつもある。だからどの方向を向いても、どの議案を今取り上げているか、その内容が何かを見ることが出来ます。また、誰かが何か言うと、それもスクリーンに出て来ます。そして順番があるんですよ。その議案を紹介する。それを聴く(Listen)。それから少人数に分かれて話し合う(Discuss)。そこで、これおかしいとか、これ変えた方がいいんじゃないのかとか、そういう話が出来ます。そしてそれを議長に提案することも出来ます。そして最後は決定する(Decide)のです。三つの段階がある。だからその場で、聴いて、じゃあもういいですか、採決しましょうーか、じゃないです。時間をかけます。総会は1週間ですからね。1週間ですよ。そしてレクリエーション、信仰祭り、売店、コンサートもあって、いろんなことがあります。それから議長候補者は総会が始まる前からいます。今回12人でした。女性7名、信徒2名、先住民族1名、レズビアン1名、障がい者1名。8つの教区と10の地区の推薦によってこの人たちが候補者になっているんですね。脳性麻痺の人も候補者になっています。脳性麻痺だから自分の口でしゃべれないのですよ。だからコンピューターで彼が打って他の人がその人の思いを伝えます。それでも議長の候補者になったんですね。
議長候補者10名の内 女性7名 信徒2名 先住民族1名 レズビアン1名 障がい者1名
8教区(Conference)の10地区(Presbytery) の推薦
そしてみんなストールをかけて、そして自分が議長になったら何をしようとしているか。何を大切にしたいか、短いスピーチをして、それから選挙します。選挙するときも紙を配るわけではないのです。リモコンみたいなものを全員が持っていて、それで選ぶのですよ。1 番、2 番、3 番、・・・・。議案の採決をするときもそれを押します。だから何かに書いたり、手を挙げたりすることもないですね。結局、新しい議長にはリチャード・ボットという人が選ばれました。
先住民族の挨拶ももちろんありましたけれども、彼らの原語も何回も総会の中で聞きました。今どういう状況に置かれているか、これから教会として何をしなければいけないのか、そういうことはいくつもありました。
それと1988年、さっきもちょっと触れましたけれども、セクシュアル・マイノリティーのことについて、クリスチャンになるにも、牧師になるにも妨げとならないと決議した時のことについての芝居もありました。今日、教団総会でこの集会の前に行われた解放劇と同じような感じです。この時は、ヘイトメールと脅かしの電話とか手紙とかで、議長は本当に大変でした。このことでまだ、セクシュアル・マイノリティーの人を受け入れることが出来なくて離脱した教会と信徒もいました。でも加わった人もいました。今はともかくセクシュアル・マイノリティーを受け入れることがカナダ合同教会のものになっているのです。カナダ合同教会の一部です。その時のことを覚えて、芝居をしました。また踊りもあり、バンドも二つありました。だからよく歌います。世界のいろんな歌を歌うんです。今回の一つのバンドのミュージシャンの二人は日本人だったのですよ。だからいろんな国の人が手伝ってくれるんですね。
多文化が平等に尊重されているかどうかを見る人(Intercultural Observers)
これで最後になりますが、カナダ合同教会のIntercultural Observersと呼ばれる人たちがいるんです。英語では新しい言葉だと思うのですけれども、interculturalというのはその文化がどういう風に混ざっているか。本当にみんなが平等の立場なのか、どうなのか? そのことを大切にしたいから、みんな平等で、白人だから上に立つ、西洋の文化だからいいことだと、そういうことはない。それを「観察」する人がいるんですよ、総会中に。差別があるのか、偏見があるのか。どうなのかを見て、そして報告するんです。その人はこの総会の会場にも差別はあったと言ったんですね。これは総会が終わるちょっと前ですよ。でも彼がそれを言って、それで次から次へとその総会で、或いはカナダ合同教会で、或いはカナダの社会で、差別と偏見を経験している人たちが、マイクの前に立って、自分の差別の経験を語ってくれたんです。議案がいくつも残っていたんですけれども、この時間を大切にしなきゃという議長の判断で2時間半それを聞きました。差別と偏見の出来事。それで夕食も2時間遅くなって、残っている議案はもう取り上げる余裕もなくて、日本で言うと、常議員会にゆだねることになったんですね。でもこういう人がいるということ、彼はアフリカ系の人ですけれども、もう一人の「観察」する人は障がい者です。そういう人が見ているんですね。本当に平等かどうか、みんな同じように扱われているかどうか。カナダ合同教会は、これで完全だとか、問題はないとか、全然そうは思っていません。むしろこれからだ、そのためにこういう人を置いているんですね。
おわりに、16の地域”Regions”に分かれて これからの大きな課題
先程教区と地区がなくなるという話をしましたけれども、とにかく今までの組織はなくなる。「Region」になる。「Region」はどう訳したらいいか。地域と言ったらいいのか。今までの教区の数より多くなりますけれども、やっぱり地方の教会、離れている教会にとって、これは大変なことかもしれないので、小さな教会とどう連帯するか。これはカナダ合同教会にとって一番大きな課題の一つではないかと思います。でも「神様を信じて歩もう」「神さまに期待しよう」そういう気持ちを持って歩もうとしています。
カナダ合同教会の新しい信条の最初の所の言葉を紹介して終わります。
・ 神様を信じて歩もう 神様に期待しよう
「 わたしたちは ひとりでは ありません。
わたしたちは 神の世界に生きています。
わたしたちは神を信じます。
神は世界を創造され、その創造のみ業は今も続いています。
神さまの働きは終わっていない。わたしたちはこれからも
道を求めます」。